I Still Love You

「おはようございます」
明るい元気な声が聞こえて、日葵はハッとしてふりかえった。

「柚希ちゃんおはよう」
いつもの出社時間が近づいていたことに気づき、未だ落ち着いていなかった気持ちをなんとか整えると、目の前の仕事にとりかかった。

そんな時、周りの雰囲気がピリッとしたような気がして、日葵は顔を上げた。

「手が空き次第、ミーティングルームに集まってくれ」

その声に視線を向けると、部屋から出て颯爽と歩いてくる壮一がいた。

さっきとは別人のような、いつもどおり完璧な壮一がそこにはあった。
シャワーも浴びたのだろうし、スーツも違うものに着替えられていて、常に泊る準備をしていることに気づく。

途中で入社して、社長や会社の期待を一身に受け、失敗できないこの状況でも弱さも、弱音すら聞いたことがない。

壮一の言葉に、一斉に返事をしてみんながミーティングルームに向かう。
日葵も、目の前の仕事にキリを付けるとそこへと向かった。
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