I Still Love You

「なんだよその顔は。もう長谷川は立派な大人だってわかったよ」
踵を返した後に言った壮一の表情は、もう日葵には見えなかった。


(何を言うつもり?何を聞きたいの?)

自問自答したまま、壮一の後姿を見ていた日葵だったが、不意に壮一が振り返り動きを止めた。

「日葵……ごめんな」

今度ははっきりとしたその謝罪に、日葵は呆然としていた。
そんな日葵に構うことなく、ドアは音もなく閉まった。

静まり返った部屋で、日葵はようやく大きなため息を吐いた。

(今更何に謝ったのよ……)

前に進もうと思うのに、いつもこうして心を乱される。

「もう嫌……」

壮一に対してなのか、自分に対してなのかわからないその言葉が無意識に溢れ落ちた。

< 113 / 229 >

この作品をシェア

pagetop