I Still Love You

多忙すぎる日々はあっという間に過ぎ、なんとかプレスリリースの発表を終え、気が緩んだのだろうか。
パーティー前、壮一はみんなに声を掛けつつも、襲い掛かる吐き気とめまいを必死にこらえていた。
このところ、まともに眠った記憶はなかったが、まだまだ大丈夫だと思っていた。

(ちょっとやばいか?)

迷惑をかけるぐらいなら、このまま初めの挨拶を終えたら抜け出そう、そう壮一は決めるとパーティー会場へと向かった。
昔からポーカーフェイスを身に着けてきてよかったと、今日ほど思った日はなかった。
長年自分を偽ってきた身体は、体調の悪さを隠しつつ挨拶まで終えることが出来た。

(もう抜けよう)

そう決めて、壇上から降りて誠に挨拶をしようとしたところで、あろうことか日葵の元へと歩いて行くのが解る。
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