スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】

 不思議な感じだ。だって、去年、湊と知り合った頃なんて付き合うなんて、こんなに好きになるなんて思わなかったのに。

 今は、世界で一番好きな人だ。ずっと傍で笑っていて欲しい人。

 変わってくんだ。なにもかも。

 少しずつ変わった季節の記憶が折り重なるように、降り積もるように重なっていって、段々思い出す回数も減って……だけど、きっと、忘れない。

「ねぇ、湊」

「ん?」

「私が忘れさせてあげられなかったらどうする?」

 湊はしばらくの沈黙の後に、苦笑いした。

「それね。毎年墓参りなんて来てたら忘れられるわけないよね」

 当たり前だよねと湊は笑って、だからさ、と続けた。

「とわにはずっと俺の傍に居て欲しいんだけど。……だめ?」

 石段数段下に立っている湊は、少し下から私を見上げてくる。だめかなんて……聞かれるまでも無いのに。

「それじゃあ、たくさん海来れるね」

やっぱり水着要るかな、と笑うと不意に近づいてきた湊に唇を奪われた。

「……だから。ここ、そういう事する所じゃないから」

「兄貴に見せつけとこうと思って」

「不謹慎だよ」

「ほら、結婚式とか寺でやんないじゃん。教会だと兄貴来れるかわかんないし。先に、見せとこうかなと」

 …………。

 湊ってどこまで本気でどこまで冗談なんだかよく分からない。

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