クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
自分はジークに助けられることなく、馬車の中で眠らされて見ず知らずの所へ連れてこられたのだと悟った。気持ちを落ち着かせ、アンナはそっと布団の中からほんの少し顔を出して部屋の様子をじっと窺う。
部屋はさほど広くはなかった。壁には絵画が飾られ窓際に花の活けられた花瓶が添えられているのが見える。床には絨毯が敷かれ、まるで貴族の屋敷の部屋のようだった。時刻はわからないが、部屋は明るく夜が明けて日の光が部屋に差し込んでいる。そして、視線の向こうで数人の侍女と話しているのは……ベアトリクスだった。
明るい場所で見る彼女は囚人であることを忘れてしまうほど美しく、気品ある仕草は王族であった名残をうかがわせた。しかし、その裏では恐ろしい一面を持っている。
ベッドの中で身を潜めていると、ベアトリクスが近づいてきた。一歩一歩距離を狭められる度に心臓がうるさく鳴り響き、緊張で手に汗を握る。
「あら、この髪飾り……どこかで見覚えがあると思ったら、アリシアのじゃない」
ぎゅっと目を閉じていたが、髪飾りにベアトリクスの手が伸びてくる気配を感じ、アンナは思わず飛び起きた。
「ふふ、やっぱり起きていたわね。狸寝入りをして様子を窺うなんて……いやらしい子」
アンナはできるだけ距離を置くように後ずさり、ベアトリクスを睨んで沈黙した。
部屋はさほど広くはなかった。壁には絵画が飾られ窓際に花の活けられた花瓶が添えられているのが見える。床には絨毯が敷かれ、まるで貴族の屋敷の部屋のようだった。時刻はわからないが、部屋は明るく夜が明けて日の光が部屋に差し込んでいる。そして、視線の向こうで数人の侍女と話しているのは……ベアトリクスだった。
明るい場所で見る彼女は囚人であることを忘れてしまうほど美しく、気品ある仕草は王族であった名残をうかがわせた。しかし、その裏では恐ろしい一面を持っている。
ベッドの中で身を潜めていると、ベアトリクスが近づいてきた。一歩一歩距離を狭められる度に心臓がうるさく鳴り響き、緊張で手に汗を握る。
「あら、この髪飾り……どこかで見覚えがあると思ったら、アリシアのじゃない」
ぎゅっと目を閉じていたが、髪飾りにベアトリクスの手が伸びてくる気配を感じ、アンナは思わず飛び起きた。
「ふふ、やっぱり起きていたわね。狸寝入りをして様子を窺うなんて……いやらしい子」
アンナはできるだけ距離を置くように後ずさり、ベアトリクスを睨んで沈黙した。