拝啓、未来へ

2枚目












「――――……、」



あ、起きる。

そう感じた時には、眩しい白い光が頭の中を埋め尽くした。
カーテンの少しの隙間から綺麗な朝日が差し込んでいる。


ぱちぱちと何度か瞬きをすると、脳が徐々に覚醒してくるのがわかった。
その瞬間に身体の至るところが、思い出したように動き始めたような気がした。


ゆったりとした動作で起き上がりベッドに浅く腰掛ける。
額に手を添え深く長い溜息を吐いた後、ベッドサイドに置いてあるデジタル時計を確認する。



「(6時50分か。)」



そろそろ会社に行く準備をしないと、と。
また溜息を吐こうと思ったところでふと気付く。



「………あ、れ」



もう一度デジタル時計に振り返る。
これは西暦・月日・曜日・時間・天気に加え、気温や湿度までも教えてくれる優れものだ。

社会人になって初めての給料で、親へプレゼントを買った。
それでもまだいくらか余裕があったから、自身へのご褒美としてこれを買った。実は随分と気に入っている。


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