サイドキック
――――バァアアアアアアアン!!!
耳を劈くほどの破壊音。デパートの窓際付近が一斉に爆破の渦に巻かれ、腕を盾にして思わず目を瞑った私の身体に激痛が走り抜ける。
「………は……、」
ひゅう、と。喉からは馬鹿みたいに弱々しい呼吸音だけが繰り返されていて。
おずおずと覆っていた手を開いて視線をおとしてみると、至るところにガラスの破片が突き刺さって―――段々と血が染みになって広がっていく。
馬鹿みたいだ。いくらヒロヤに似てるからって……動揺し過ぎだ、バカ野郎。
これくらい避けきれなくて、どうするの―――
視界が霞む。瞼が自然と下がっていく。崩れおちていく身体は、言うことを聞いてくれない。
ただ、むこうに佇む男だけは―――にやり、と。とても満足そうに微笑んでいたような気がする。
ヒロヤ、ごめん。