水槽日

歯をみせニカッと笑う彼。

あまりにも暖かいその言葉と優しい声に、胸が締め付けられる。


「太陽くんじゃなくてさ、陽翔って呼んでよ」


「は、…はる、と」


「そうそう、陽翔。太陽くんって面白いけど友達にいるからさ」


キラキラ。

太陽みたいに、キラキラしてて暖かい。

やっぱり、太陽くんだ。



次の日の朝。

陽翔くんの席の周りに、昨日私のところに来た女子が群がっていた。

えっと…奈穂ちゃん、だっけ。

日直だった子と、私に声をかけた子。


「陽翔!なんで昨日来なかったの!?」


陽翔くんの机をバンっと叩いたのは、奈穂ちゃんのお友達。

昨日ってもしかして…。


「あー、わりぃ。ちょっと広瀬と話してた」


「え、なんで広瀬さん?私たちの遊びの約束断って二人でいたの?」


思わず手で口を抑える。

もしかして陽翔くん、約束があったのに私の手伝いをしてくれたの…?


「日直の仕事押しつけるまで俺と遊びたかったの?」


すると、陽翔くんは私の方を見た。

目が合い、ドキッとする。

陽翔くんは私に向かって微笑み、二人に聞こえるように声を張った。


「ま、おかげで広瀬と二人で話が出来たからいいけど」


「え…ねぇ陽翔、広瀬さんと仲良いの?」





あ、ダメだ。

これはダメなやつだ。

否定しなきゃ、そうじゃないって。

じゃないと陽翔くんのイメージが悪くなっちゃう…!!

そう思い席を立つと、同時に陽翔くんが女子二人に向かって笑った。




「そう、友達。仲良くしてやってな」
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