諸々ファンタジー5作品

プロローグ

今は砂に埋もれた町。名も記録にはない。
一日の内に消えた町の最後の者、小さな青年が歴史を変える。
世界が、一つの国の圧政にあった時代。
小さな存在の彼が、圧力の下にある小さな国に勝利を与えた。彼の言葉には力があり、まるで預言者。
彼を手に入れようと、小さな国や中立国をも巻き込んで、戦争が起こる。



プロローグ:小さき者



レンガ造りの小さな家。普通に暮らしていた。あの日までは……。

突如として臨んだ災厄は、戦争だったのか飢饉なのか、俺にも分からない。



多くの異国の兵士が確かに居た。多くの者が殺され、奴隷となり……その同じ日に、自然災害があった。疫病が広まり、兵士も全滅状態。



呪われた町に、執着する国は無かった。その生き残りだ。誰が信じる?



言葉を無くした俺を、砂漠と化した町に来た無謀な研究者が拾った。その数日を問われたが、書き記した文字を解読できる者がいなかった。

失われた小さな町。その町を欲した国の目的が、“それ”だったのかもしれない。

後に国の勢力を覆す知識。その一族の町。残された歴史的な資料もない。残されたのは、一人の幼い少年の遺伝子の奥深く……



「ロスト!また、ここにいたの?」

研究者の娘、ブレシニー。お気に入りの場所に、必ずやってくる幼馴染み。

美しい風貌に、俺だけではなく、この下町……城下町にまで噂が広まり心を奪われる者が多数。

彼女が、いつか誰かを選ぶまでの共に過ごす時間。



言葉を発することが出来たのは、彼女を失ったときだった。

ブレシニー……必ず、君の命は守ると誓うよ。




< 2 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop