諸々ファンタジー5作品

感謝短編

オマケ短編1:タイトル『理想』

Side:セイラッド
登場人物:ロスト・アクル
場面:酒場の後、休み明けの集合場所。



 アクルがロストに絡んで、酒場で解散になった後の事を聞き出していた。

俺も興味があったので、助けずに傍聴する。

「何もない。」

「嘘を吐くなよ、見た奴がいるんだぞ?」

その言葉に、鋭い視線を向けたロスト。

俺もアクルも言葉を失う。



アクルの把握した事と、自分の知られたくない事が一致しない事を悟ったロストは、視線を逸らす。

気まずいのは、集団生活に良くないよな。

「そう言うアクルは、どうなんだよ?
俺は、お持ち帰りで楽しんだ。勝負でもするか?」

本当は知っている。

アクルが、下世話な会話を望んだわけではないと。

「ふ。お前に勝てるかよ。」

漢気なアクルも、普段のロストを知りたいと願ったんだ。

あれが、ロストの拒絶だと感じないで欲しい。

「アクル、お前は純粋だよね。」

俺は、正直に言葉が出ていた。

「な!?ばっ、バカ言ってんじゃねぇ!」

顔を真っ赤に、ロストの首に腕を絡めて。

「ロスト、お前の相棒を黙らせろ!」

アクルの態度に、ロストの安堵を感じた。

不器用な男達。

これからの戦で命を落とす、消えゆく灯。

「セイラッド。楽しんだ割には、暗い表情だけど?」

ロストの俺への興味か?

ふ。何故か嬉しくなるのを、俺は隠せているだろうか。

「俺の願う望みは、手に入らない方が良いのだと・・
切ない夜を過ごしたんだ。勝負には丁度良いだろう、アクル?」

自虐だよね。

「この生意気な!剣で勝負して、決着はどうだ?」

「来いよ、相手をしてやる。」

後から来た2人が、何事かと見守る。

そして、ロストの視線は鋭いまま・・俺を見つめる。



『手に入らない』

俺の望みが何なのか・・きっと、お前は失望するよ?

恋にも気づけないお前に、俺の歪んだ恋心なんて・・理解できないだろうから・・





end
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