百万人の愛を選ぶか、一人の愛を選ぶか〜ロボットの選択〜
「……ロボットが、天国になんて行けるのでしょうか?」

それでも、カイは待ってくれている。

自分も天国へ行けると信じ、ミカエラは人工心臓を握りつぶした。

ミカエラの目の前は、一瞬にして真っ暗になった。今まで感じたことのない眠気が体を動けなくしていく。

カイ、すぐにそちらに逝きますね。

ミカエラは微笑んだまま、最期を迎えた。



今日はクリスマス。街は赤や緑の光に包まれ、誰もが幸せそうに歩いている。

「よ〜し!クリスマスパーティーを始めるぞ!」

カイがおいしそうに焼けた七面鳥をテーブルに置く。

「わ〜!おいしそう!」

「早く食べようよ〜」

ガブリエラとラファエルがはしゃぐ。

「おいしいケーキも作りましたよ。みんなで食べましょう」

ミカエラが微笑むと、ガブリエラとラファエルが抱きついてくる。

「ミカエラ大好き!」

「僕も!」

「ミカエラ、人気者だなぁ」

カイが笑う。ガブリエラが笑う。ラファエルが笑う。ミカエラも笑う。

……幸せな思い出だ。



ピー……。

静寂の中に、命の終わりを告げる電子音が響いた。
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