ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~

「……ごめん、翼咲。本当に反省してる」

 顔を俯かせて言う。

 もうこれ以上傷は作りたくない。急に自分を大切になんてできないに決まっているけれど、それでも少なくともできるだけ、自分を傷つけないようにしたい。でないと、こいつらに心配をかけてしまう。

「まぁ別にいいっすけど」

「紅にぃ、お昼まで俺と過ごしません?」

 呼ばれ方と口調があってないな。

「ああ、いいよ。トア……じゃなくて、妖斗、もう敬語はやめだやめ」

「え? なんでですか?」

「紅にぃとかいうずいぶん親しげなあだ名で呼ばれてんのに敬語にされるとすごい違和感がある」

 違和感ありまくりだ。

「俺と翼咲も敬語やめていいっすか」

「ああ、いいよ。光輝は歳も近いだろうしな。一個下くらいだろ?」

「はい、俺十九っす」

「その歳でよくもまぁガキの世話なんてできるなぁ」

「弟が優秀だから。進んで家事手伝ってくれるんで」

 なるほどな。

「……ふーん。翼咲結構料理できんだ?」

「まぁそれなりに。光輝には負けるけど。紅葉兄さんは?」

「俺もできはするかな。……紅葉兄さんじゃなくて、紅葉でいい」

「わかった、紅葉」

「本気で呼び捨てにする奴があるか!四歳差だぞ?」

 眉間に皺を寄せて、光輝はいう。

「え、いいじゃん」

「クク。光輝、俺は気にしてねぇよ」

 喉を鳴らしながら、俺は応じる。

「いや気にして。ここでは紅葉が長男だから」

 俺が長男?

「え、長男は(あき)兄さんだろ?」

「いや、紅にぃでいいんじゃないかな。兄さんは身体だけ成長してるみたいなとこあるし。基本的に落ち着いてるから、子供っぽい感じあんまりしないけど」
 
 妖斗が心做しか沈んだ顔でいう。

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