ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~

「なぁ妖斗……妖斗は、俺が目を覚まして、本当によかった?」

 は?

「兄さん、何言ってんの? よかったに決まってんじゃん」

「……俺、こんなに妖斗に心配かけてんのに?」

「それとこれとは話が別だろ! 俺、もしあのまま兄さんが目を覚ましてなかったら、死んでたよ、きっと」

 首を振って、必死にまくし立てる。

「……ごめん、そうだな。でも妖斗、その……お前に散々心配をかけた俺が言うのもなんだけどさ、お前は俺を中心に物事を考えすぎだ。今日だって、学校を休んでここに来たんだろ?」

 図星だった。

「お、俺はただ、兄さんに早く元気になって欲しいだけで」

「だからって学校は休まない方がいい。ずっと行きたかったんだろ?」

 ため息をついて、兄さんは頭を抱える。

「なんで」

「なんでって、おまえはただでさえ小中と学校に行ってないんだ。一日でも休んだら、授業に追いつくのが大変だろ?」

「じゃあ俺が授業を受けてる間に、兄さんが倒れたら? 兄さんはそれでも授業を受けろって言うの?」

 苦虫を噛み潰したような顔をして、兄さんは言葉を詰まらせる。

「そうじゃない! そうじゃないけど……俺は、怖いんだよ。このままだと妖斗が、俺のせいで自分の人生を棒に振りそうで。……お前が昨日出かけたのだって、俺のせいだし」

 兄さんの目から、涙がこぼれ落ちる。

< 124 / 139 >

この作品をシェア

pagetop