そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
呼んだ瞬間、柳本さんが私を抑え込む力がふっと緩んだ。

私はゆっくりと目を開ける。

柳本さんの体がようやく私から離れていった。

そして、片膝を立てて座った彼が小さく吐き捨てるように言った。

「どう足掻いたって、大智には叶わないんだ」

私も体を起こし、柳本さんのうつむく横顔に「ごめんなさい」と呟く。

でも、まさか柳本さんがこんなこと。

まだこの状況が信じられず、両腕を抱えるようにして呆然と床に視線を落としていた。

出張で帰らない東條さんがいない今、柳本さんだけが頼りだったのに。

だけど、例え東條さんが私のこと好きじゃなかったとしても、柳本さんの言うようになることだけは嫌だった。

「無理矢理抱きしめたりなんかしてごめん。もうしないよ。だから大智にも言わないでくれる?」

柳本さんは前髪を掻き上げると、寂しそうに微笑み私の方に顔を向けた。

私は何も言わずただうつむくしかできない。

「大智は、明後日までの予定を切り上げて明日は早めに帰ってくると思う。今夜はとりあえず俺は帰るね。このままここにいたら、俺もどうにかなっちゃいそうだから」

うつむいたまま頷いた。

「あ、あと」

柳本さんは立ち上がると、思い出したように付け加えた。

「この間誘ってくれていた発表会の後の打ち上げ、申し訳ないけれど予定が入ったから行けなくなったんだ。お友達にもよろしく伝えてもらえるかな」

「はい」

きっと予定が入ったというのは嘘だと思ったけれど、こんな状態できっと打ち上げなんか普通の顔して行けない。

柳本さんは革ジャンを羽織ると、「じゃ、おやすみ。気をつけて」と言って玄関から出て行った。



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