そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
「僕は岩倉さんを送っていくつもりしていたんですが、GMが少しロビーで休ませたらタクシーを手配して家まで送り届けると言うものですから、そのまま帰ってしまって」

「え、ああ、はい」

そうだったんだ。

柳本さんにはロビーで休ませるって言ってたんだ。
よかった。本当のこと伝えなくて。

すると、柳本さんは私の耳元に顔を寄せて小さな声で言った。

「でも、GMは手がはやいから・・・・・・岩倉さんは大丈夫でしたか?」

一気に顔が沸騰する。

「なっ!」

そんなことを言った柳本さんを目を見開いて見つめた。

柳本さんはそんな私を見て「くすっ」と口に手をやり笑う。

「冗談ですよ」

「柳本さんまで私をおちょくらないで下さい」

まだ熱い頬を手のひらで押さえながら、彼を軽くにらんだ。

「申し訳ありません。ま、これも冗談の冗談ですけど」

柳本さんはそう言い、意味深な笑みをたたえたまま私に一礼すると会場から出ていった。

冗談の冗談?!

ってことは本当ってこと?!

確かに、GMはかなりモテるって山村秘書も言ってたし、私を抱き上げただけで私のスリーサイズまで把握しちゃうってことは相当な遊び人だとは思わざるを得ないけど。

でも。

あの日はとても優しくて、紳士で、襲われるなんてことはちっともなかった。

むしろ何もなくて私の方ががっかりしたくらい・・・・・・なんて、私も何考えてるの!


『今日の君はとてもきれいだ』

あの日の別れ際、少し照れた横顔で言ったGMを思い出して胸がドキドキし始める。

あんなこと、きっと色んな女性に言ってるんだわ。

そうして、こんな風に女性達の気持ちを切なく翻弄する。

ああ、手に終えない。無理だ!

少しでも浮かれていた私が馬鹿だった。
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