最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
『……私にはわからない。今でもこのまま風になって消えてしまえたら……て思う。誰も……悲しむ人なんて……いないし』
しゃくり上げながらそう言ったら、彼は真剣な眼差しを私に向けた。
『いるよ。僕が悲しむ。せっかく助けたのに、消えるとか言わない』
『だって……!?』
反論しようとしたら、お兄さんは私の言葉を遮った。
『君を助けたのは僕だ。ということは、君の命は僕のものということになる』
お兄さんは急に表情を変え、悪魔な顔で告げる。
『え?』
彼の無茶苦茶な論理に涙が引っ込んだ。
『僕の許可なく消えるなんて許さない。これは命令だよ』
少し厳しい顔で命じると、お兄さんはポケットから何か取り出して私の口に放り込む。
『んぐ!?』
それは、甘いチョコだった。
口の中でとろけて、『……美味しい』と笑顔になると、彼はニンマリしながら私に綺麗にラッピングされた包みを差し出す。
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