最愛~一夜の過ちから御曹司の溺愛が始まりました~
「自分がイケメン御曹司って自覚あります?」
「さあ。よくわからないな。そんなことより敬語に戻ってる」
慧は首を傾げて惚け、話をすり替えた。
「あっ、遅刻しちゃう!?」
雲行きが怪しくなって来たので、車のドアを開けて逃げた。
それに、このまま話していたら本当に遅刻する~!
うちの会社の御曹司と一緒に遅刻なんてしたら、何を噂されるかわかったものではない。
その日のうちに"愛人"とか"玉の輿狙ってる"とか嫌な噂が立ちそう。
今、八時四十五分。
始業時間は九時だ。
慧の車を振り返らずに、ただひたすら会社までダッシュ。
会社に着くと、激込みのエレベーターに乗り、オフィスまで脇目も振らずに走る。
周りの社員に変な目で見られたが、気にしてはいられない。
経営企画部に駆け込むと、息せき切りながら自分の席に着いた。
「……何とか間に合った」
ハーッと息をつくと、水沢さんが笑みを浮かべながら挨拶してきた。
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