イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
戻ってきた日常
「はーい、皆、席に着いてー」


テスト返すよぉーと答案用紙をヒラヒラさせると、「ええ〜っ!?」というどよめきが響き渡り、ガタガタ…と椅子を引き合って室内が静まり返る。

私は教壇に立つと生徒達に向かい合って名前を呼び、算数のテストを返し始めた。
呼ばれてテストを取りに来る生徒達の顔色はまちまち。

思いがけず点数の良かった子はホッとして顔を綻ばせ、想像以上に点数が低かった子は、青ざめて戻って行く。

その瞬間、私はいつも変な優越感に浸る。
教師になって良かったのかな…と迷いも生まれ、神妙な気分にもなるんだが。


「次、小野くん」


ある生徒の名前を呼んで、その子が教壇へとやって来た。
二学期はこの子の言動に悩まされ続け、体調も崩して大変だったけど。


「はい、小野くん」


先週、ファミレスで会った生徒にテストを返却した。
「頑張ったね」と声を付け加えると、点数を確かめた生徒が顔をクシャッとして微笑んだ。


「やった!」


ガッツポーズを決めながら席に戻り、周りの子達に「見ろ見ろ」と強引に迫っている。

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