イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
(やっと食べれるーっ!)


そんな音の中で、ほくほくとトレイの上を見つめて感極まりそうになってる私。
一ヶ月以上ずっと我慢してきた物を目の前にして、感動に打ち震えていた。


「先生ー、今日もパン貰っていい?」


向かい側に座る生徒達から声をかけられ、ちらっとそっちに目線を配る。
胃痛で悩んでる間は食べれない物は希望者に譲り、自分は粗食で済ませてたんだ。

ワクワクと期待に満ち溢れた眼差しを受けて気は引けるけど、今日は絶対にあげれない。


「ごめんね。悪いけど先生、体の調子が良くなったから」


もう自分で食べれるよ、と言うと、ええ〜っ!?と残念がられてしまう。
その驚きようと落胆した表情を見つめてニコッと微笑み、自分の分をしっかり食べな…と心の中で訴えた。


今日の献立は、きな粉味の揚げパンと唐揚げ。
白菜のコールスローサラダとオニオンスープ、小さな苺ショートケーキまで付いて豪華バージョンだ。


(美味しそう!)


今朝からずっと、この揚げパンを献立表で確認し、きっちり堪能しようと決めていた。
だから誰にもあげたくないし、寧ろ一個で足りるのか?と疑問を胸に抱いてるくらいの食欲を感じてる。

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