イメージ通りじゃない彼と、ときめくリアル恋愛
何なら帰ってもらっても結構ですよ…と言いたくなり顔を見遣る。けれど、今泉君は知らん顔で、時間が勿体ないからさっさと教科書を見せて…と言ってきた。


(はいはい)


呆れながら鬼軍曹の言うことを聞いて、バッグの中から分厚い解説付きの教科書を出して手渡すと、今教えてる所はどこだ?と訊いてくる。


「ここ」

「小数点か」


躓きやすいポイントだよな…と教師のような言葉を発し、ふぅん…と言いながら私の作った授業の内容を確かめ、目線を上げると、じぃーっとこっちを見つめながら徐ろに唇を開いた。


「…なぁ、望月さんはいつもそんな服装で授業をやってるのか?」

「え?そうだけど」


服装が何か?と自分の格好を見返す。
ベージュの丸首セーターにグレーのチェックパンツ。

休み時間に生徒達と遊ぶことも多いから、基本パンツスタイルだよ…と言うと、彼は下唇の辺りに親指を置き、悩むような仕草を見せて提案した。


「あのさぁ…たまにはスカート穿いて学校行ってみれば?」

「え?」

「それがダメなら、せめて明るい色の服を着るとか」


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