恋は思案の外
お花見大作戦



春です。巡り巡ってまた桜が咲き誇るこの季節を迎えてしまいました。

お父さん、お母さん。元気にしていますか。わたしは相変わらずです。



あ、お父さんもお母さんも今日家に帰ったら居るんだった。




まあ、何が言いたいかというと───




「お花見したいよね!!」

「ヒイッ お、鳳さん!?急になに!?」




出勤前の一コマ。事務所でポチポチとケータイをいじっていた店長は、わたしがいきなりガタリと立ち上がるもんだから顔を青くして悲鳴を上げていた。



そんなの知らないよね。てか外!外見て!!

今もう花弁から溢れんばかりに桜が咲き誇っているから!満開真っ只中だから!!





「こんな日に花見以外の何をしろと!?」





ゾンビみたいにやつれた顔で店長があたしの肩にポン、と手を置いた。

奥さんが主導権を握っているらしい店長一家。最近では子供たちまでもが奥さん一派となってしまい、事あるごとにラ〇ンで罵倒されているとか。

嗚呼、かわいそうな店長。





「お仕事の時間デスヨ、鳳さん…」





嗚呼、かわいそうなわたし。



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