恋は思案の外



青いポロシャツを着ている時点でスタッフと分かりそうなものなのに、わざわざプレートを付けてスタッフを強調する意味はあるのだろうか。



しかもこれ、安全ピンだから服に穴開いちゃうじゃん。配られた服だから別にいいけど、自分の服だったら穴を開けるなんて絶対嫌だね!





……なんて、心底どうでもいいことをぶつぶつ呟いていると店長に更に距離を取られたので、目の前に置かれた大量のペットボトル飲料を一本勝手に飲んでやった。



「鳳さぁん」――そんな泣きそうな店長の声なんか無視だ、無視!


このペットボトル飲料もどうせ余ってスタッフに配られるんだからいつ飲んだって一緒だよ!




そんな突然の反抗期を迎えたわたしの扱いが分からなくなったのか、店長はもう、わたしの相手はしないことにしたようだ。









「あーー、あっつい……。」



しかし、暑い。


連日、日中の気温が30℃超えの真夏日が続き、最近では熱中症で病院に運ばれるひともかなり多いらしい。そのため休憩所の準備も抜かりがない。



だけどこの暑さじゃ、テントの中で立っているだけのわたしたちスタッフ内でも熱中症にやられるひとが出てくるんじゃないだろうか。



「う~~~、なんか頭痛い」



現にホラ、わたしもさっきからちょっとしんどいし。








   「お姉さーん」








――嗚呼、なんだかわたしのことを呼んでいるような幻聴が聞こえる気が。


しかもそれが、よりによってヒト科の声に聞こえてしまうなんて……。





   「おーい」





もう末期だ。

わたし、だいぶあのヒト科に毒されて――



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