恋は思案の外
寒いからってそりゃないよ




「‥‥‥」


何だろうコレは。

目の前を吹き抜けていく風、風、雪、風‥‥──って!




「雪いいいいい!?」


おっといけない、思わず大声で叫んでしまったじゃないか。

しかしながら此処は辺鄙な田舎町。

叫んだわたしの声に答えるかのようにランニング中のスーパー近所のおじさんが「いろはちゃん、雪好きか~?」とにこやかに破顔しつつ走り去って行く。

‥‥おじさん強いな。結構雪酷いけど。それでも走るとはなんて素晴らしいアスリート魂。

て言うか聞いたくせにいなくなっちゃうの?なんて野暮なことはどうか聞かないで下され。


こんな場所で生活していれば嫌でも独り言が習慣として身に付いてしまうのよ。

















‥‥‥取り敢えず。

カラカラカラ、駐輪場から寒さを訴えるハヤテ号の救出に成功したのは良いものの。




「(果たしていけるだろうか)」




帰りの心配がまず一つ。

だってシフト中に雪が積もりまくったせいで道路が既にびちゃびちゃだし。

この中をハヤテ号に跨って漕いでいけばどうなるかなんて‥‥正直あまり考えたくない。

濡れ雪に滑って転倒しそうだし。‥‥あ、ちょっと思い浮かべただけで自分の未来が見えた気がする。

くっそ、だから考えたくないと思ったのに!わたしの!馬鹿!




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