セカンド レディー



「柚姫ちゃんがそういう子で、安心したよ」



視界に映る、陽向くんの優しい笑顔。


いつもの作られた笑みじゃない。


彼の、心から見せる、本当の笑み。



あたしもいつか、こんなふうに笑いたい。


もしもみんながあたしのことを受け入れてくれて、あたしが心を許せる日が来たら……



なんて、ありもしない未来に心の中でフッと笑って見せた。





「ところでさ、アレ、なに?」



入ってきた時から気にはなっていた。


ソファの片隅でうずくまる1人の男の子。


いつもならうるさいのに、それに今朝の元気はどこに行ったのやら。





「あー、テスト結果酷かったみたいだよ」


「赤点とったの?」


「赤ではないみたいなんだけど〜…学年最下位だって。いつもは下から2番目なのに」


「ふーん」と、興味のない返事をするけど、心の中では罪悪感が生まれた。


それもそのはず、テスト結果が帰ってきて、全教科ギリギリ赤点を免れたあたし。


おまけに、入学から中間まで最下位を取ってきたのは、このあたしであり、今回は順位が1つ上がっていた。


つまり、魅斗くんを最下位にしてしまったのはあたしというわけだ。


ていうか、2人でずっと最下位争いしてたんだと思うと、少し面白かったりする。


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