恋しくば
注文したパスタがきた。辻本が差し出したフォークを受け取ることなく見る。
「そうやって今まで目を逸らしてきたくせに、母が過労で倒れたって聞いて、弟が受験しないって言って、自分が責められた気になって、あたしは地元に逃げ帰るワケ」
フォークを皿に置いて、辻本は紙ナプキンを差し出す。結局、あたしは泣いていた。さっきの店員も別れ話かと思ったのか、小さな声で料理を言っていた。
受け取って、涙を拭う。
「やっと葛野が自分のことを話してくれた」
そう言って辻本は少し笑った。その笑い方が嫌いじゃないな。