恋しくば
 
駅前のカプセルホテルをとったらしく、着替えは向こうで調達するらしい。田舎ってブランドの洋服は売ってないから、と言ったら苦笑された。

「辻本で出来が良くないなら、あたしなんて食パンのミミにもならない」
「食パンのミミは美味しい」
「あたしも食パンのミミ好き」
「食パンのミミは兎も角。辻本の中でも少ない文系の人間だったことで、あまり親族から興味を持たれることがなかった」

親族って、関係が壮大だな。上羽もデータをたまに吹っ飛ばしたりするけれど、頭の回転は本当に早い。
辻本は背もたれに背中を預ける。


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