スーパーガール
畑山学くん
二日後、ついに棚橋さんの腕からギプスが外れた。

夕方、病院から戻ってきた彼の周りに社員達が集まる。私もパソコン作業を中断し、急いで駆け寄った。

今日から大学が始まったので病院に付き添うことができず、ずっと心配していたのだ。

棚橋さんはデスクに着くと、ギプスの代わりにサポーターを装着した手首を掲げてみせた。


「おかげさまで、無事、ギプスが外れました」


誰からともなく、拍手が湧く。棚橋さんを心配していたのは、私だけではないのだ。


「これからリハビリですよね。今はまったく動かせない感じですか?」


社員が訊くと、棚橋さんはぎこちないながらも、指を開いたり閉じたりした。


「ギプスをする間も、筋肉が固まらないようリハビリしたので、案外動きます。ギプスという支えをなくしたので、痛みはありますが」


骨の癒合が完了しても、もとどおり動くようになるまで時間がかかる。少し腫れた状態の腕を見て、私はまだ手放しで喜べないと思った。
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