強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛旦那様になりました。(番外編)


 夕食の準備をしていると、玄関のドアの鍵が開く音が聞こえてきた。
 ずっと耳をすませて待ち構えていたのだ。
 千春はすぐに、ずっと待っていた彼を迎えに走った。


 「秋文っ!!」
 「あぁ、千春。今帰った……って、どうした?」
 「秋文、大好き……!」
 「あー………その調子だと、もう知ってるんだな。」


 千春が秋文に抱きつくと、彼はばつの悪い顔をしながら苦笑した。

 「勝手に会社に行って悪かったな。……気になることがあって。」
 「気になること?」
 「あぁ。おまえが何で仕事増やしたのか気になって。何かあったんじゃないかって。……だから、お土産渡してそれとなく誰かに聞いてみようと思ったら……原因の奴が自分から教えてくれた。」
 

 思い出すだけでも嫌なのか、秋文は苦い顔をしながら千春を見た。
 千春は、抱きついていた秋文から離れた。2人でリビングに行き、ソファに座った。ジャケットを脱いでソファに置くと、秋文は千春の頭をガシガシと強く撫でた。


 「おまえ、本当にバカな男しか好きになってなかったな。」
 「………すみません。」
 「ったく……あんな男におまえを取られてたかと思うとむかつく。その時間、俺といた方がよかっただろ?」
 「……でも、あの人と付き合ってから秋文と付き合えることになったし。もしそうじゃなかったら、今とは違う未来になってるかもしれない………だから、きっと先輩との出会いも必要だったんだよ。」
 「………おまえ、あいつにべた惚れだったもんな。」
 「今の秋文への愛情ほどではありません。」


 甘い言葉を呟いても、納得出来ないのか、いじけるような態度をとる秋文を見て、千春は心の中で笑ってしまう。
 本当は喧嘩したことを怒ろうと思ったけれど、これではそんな事は出来ない。彼が愛らしくて仕方がないのだ。



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