強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛旦那様になりました。(番外編)




 「………悪い、電話だ。」

 秋文のスマホのバイブが鳴った。
 秋文は、皆がいたリビングから抜け出して、廊下に向かった。
 千春は、彼の表情を見て何かあったのではないかと、すぐに察知した。
 出と立夏も顔には出さないものの、何かあったのだとわかっているはずだ。

 3人で、先程の続きの話しをしていると、しばらくしてから秋文が深刻な顔で部屋に入ってきた。
 千春は、2人に声を掛けて秋文に近寄った。
 

 「秋文………。」
 「………俺の引退の話しがマスコミに流れたはしい。もう少しで報道になりそうだ。」
 「そんなっ……。」


 秋文の言葉を聞いて、千春は愕然とした。
 まだ、リーグ戦がスタートして半分だ。大切な時期に、引退の報道が流れてしまう。
 それを考えると、千春でもよくない事がよくわかっていた。


 「限られてた人しか話さないで、厳重に秘密を守っていたつもりだけど……守りが厳重なほど目立つってことだな。」
 「……どうするの?」
 「すぐに会見をひらくよ。」
 「………わかったわ。準備しないと。それに、2人にも………。」
 「あぁ、今話そう。」

 
 秋文がゆっくりとソファに座っていた2人に近づくと、出が心配そうに「何かあったのか?」と聞いてくる。立夏は何も言わずにただ秋文を見つめていた。


 千春はそっと秋文の隣に立った。

 きっと、彼だって話してて悲しくなるものだとわかり、少しでも力になれれば、と千春は寄り添った。
 それを秋文が視線だけで見つめ、そして口元が少しだけ微笑んだように千春は見えたので、安心した。


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