偽りの甘い罠
分かってる。

だけど、どうすればいいか、糸口すら見つからない

そろそろ終わりにしなきゃ、、、そう固く誓っても
雅人さんを感じると、私の決心なんて脆く散っていく

いくら強くて凛とした女を演じても、蓋を開ければ
魅力の欠片もない

「有村、飲め」
「え?何を突然、、、」
「俺もお前も明日は遅番だ。少し位潰れても問題は
ないだろ」
「そうだね。よし、飲もっ!」

それが、青柳の優しさなんだとすぐに理解した

普段なら責めたり悪態ついたりするくせに、
こんな時は多くを語らない

それが青柳 匠という男なんだ

私は改めてそれを実感した


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