偽りの甘い罠
今から掃除するであろう、一室へと連れ込まれる

掃除の最中は何があってもいいように、ドアは必ず
開け放たれている

ドアストッパーをすると、私の前に四人が整列する

なに、この異様な雰囲気。

腕組をしたリーダーらしき人物が先ずは口を出した

「有村さん、昨日、青柳くんと一緒にいるところを
見たという人がいるの」

チラッと横に視線を移して、隣にいるもう一人の
取り巻きが頷く

やっぱり、そういうこと。

「青柳はただの同僚。同僚とご飯食べに行くのが
いけないこと?」
「呼び捨てなんて、馴れ馴れしい。ただの同僚なら、
少しは遠慮したらどうなの?」
「遠慮ってなに?」
「私は青柳くんが好きなの。なのに、あなたみたいな
人に先を越されるなんて、許せない」
「先を越す?許せない?なにそれ?」
「あなたがいるから、青柳くんは私が誘っても断る
んじゃない。あなたさえいなければ、、、」


へぇー、、、そうなんだ。
青柳って意外とガードが堅いのね。

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