別れても好きなひと
「まぁまぁ」
と腰をさすりながらなだめる大悟にすらあたってしまいそうになる。

お産を進めるために病院の廊下や階段をひたすら歩くように指示された。

大悟はバインダーとペン、ストップウォッチを持ち時間を記録している。

はじめはその都度「きた」とか「おわった」と言っていた私。

話す余裕もなくなってあうんの呼吸で大悟は察知していく。

陣痛が来る度に掴めるものを鷲掴みにして痛みを逃す私。大悟の服がしわしわになっていった。
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