ナツマツリ


「あー…、落ち着く。」

「……心臓が、持たないんだけど。」

「余裕。」

「む、無理…!」


腕から擦り抜けようと暴れるも、俺の力に敵う筈も無く。


反抗するのを諦めたらしい彼女は、双手で顔を覆い隠した。


ギシリ、と。悲鳴を上げるその音が、酷く煽情的に感じる。


と。

「あ、そうだ…!」

「なに。」

「あたしもう帰らなきゃいけない時間じゃん、」

「泊まってけば。」

「ま、まじで…?」

「まじで。」

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