ナツマツリ

/a department store



同棲を始めて一ヶ月程経ったある日のこと。


「侑、あたし買い物行ってくる。」

「あぁ?誰と。」

「一人で。」

「………ちょっと待っとけ。俺も行く。」


服や食料品を購入するべく出掛けようと計画したあたしは、侑の一言で運びかけた足を再び地に縫い付けた。


「そういや、何で行くつもりなんだ?」

「え?……普通に電車で。」

「何買いに行くんだよ。」

「服と食料品を……、」

「一人じゃ確実に無理だろ。」

「……ですよね。」


全くもって間抜けだ。考え無しの自分が心底恨めしく感じられる。


「しかも今日は雨だろ。」

「うん……。」

< 145 / 232 >

この作品をシェア

pagetop