ナツマツリ

/就職という名の岐路




それは大学3年、就職活動に身を投じていた頃。



「…え、今何て言った?」



ソファーで身を寄せ合い、休日にレンタルDVDを見ていたとき。


侑が言ったことに目を瞬かせた。



「だーから。」



ずい、と。あたしと目を合わせ顔を近付けると、念を押すかのように口を開く。



「ナツは俺と結婚すんだから、別に働かなくていいんじゃねぇの。」

「……本当にそう言ってたんだ。」

「他に何があんだよ。」



思わず立てた膝の上に顔を埋め、視界から侑をシャットダウン。


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