片恋桜
――――保健室。




「しつれいしま――す・・・。
 っていないじゃん。なんだ。
 かってにやっちゃえ」

桜は戸棚を開け、
ガーゼを探し始めた。そのとき、

「フレ―!フレ―!あ―か―ぐ―み―!!」

この声って・・・まさか!!

桜は窓の外を見る。
すると大地が応援団長の練習をしていた。

か・・・かっこいい・・・。

桜は大地に見惚れていた・・・。
そのとき、近くでドッチボールを
やっていた一年生たちが、
キャッチミスをし、ボールが大地の
顔面めがけて直撃してしまった。

「大地っ――!!」

桜は外へ続くドアを開けようとしたが、
桜はその手を下ろしてしまった。

行ってなにができる・・・?

桜はゆっくり近くにあるソファーに座り込んだ。

なにもできない・・・。

ガチャッ!!

保健室の外へと続くドアが開いた。
桜はビックリして思わず立ち上がる。

そして目の前にいたのは・・・

「内川?」

「大地!?」

うそ!!?なんで大地が・・・

「あれ?センセは?」

「え・・・今いないけど・・・」

ポタッ

ん!?いま、何かが落ちた音が・・・

桜は恐る恐る床を見る。
すると桜の血がたれ、床に落ちていた。
指を見ると、手のひら全体まで血がたれ、
手のひらが真っ赤に染まっていた。

桜はあわてて指を隠す。

ギャ―――!!!ヤバイヤバイ!!

「おまえ怪我してんの?」

「う・・・ぅん」

「ガーゼと包帯は?」

「え・・・?えっと・・・これだけど・・・」

「よし!!貸してみ?やってやる!」

大地はガーゼを桜の傷口に当てると、
ゆっくりと包帯を巻いていった。

ドキドキドキドキ・・・

桜の鼓動が大地に
聞こえてしまいそうな程、鳴っていた。

やばい!!痛みどころか、
大地の顔がとにかく近い!!
痛みより恥ずかしさがっ!!
 
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