片恋桜

え・・・?ちょっと待った。今なんていった?
ちょっと待って・・・え・・・?それって・・・

「ねぇ・・・大地・・・。なんで緊張してるの?」

大地はペンをあけたりするのを止めた。
桜のことをじっとみている。
次の瞬間、大地の顔がいっきに真っ赤になる。

本当に一瞬のできごとだった。

え!?どうして・・・?どういうこと―――?

大地はペンを落とす。二人きりの静かな保健室に、
ペンの落ちる音が鳴り響いた。
大地は立ちすくんだまま、呆然としている。
ハチマキを持っている大地の手は震えていた。

今なら・・・。言えるだろうか・・・。

「あ・・・」

大地は下を向いて桜と目線をあわせないようにした。
桜のたった一言で、こんなにもふいんきが変わる。

大地に好きって・・・!

「あの・・・!うち・・・!」

「ゴメン。俺応援団いってくる。仮にも団長だからな」


       “え?避けた・・・?”


頭の中にこの言葉がめぐる。
桜は手に持っていたテープと、
絆創膏を床に落とした。
たった一人しかいない保健室に、悲しい音が鳴る。

桜の瞳からは涙があふれてしかたがなかった。

キーンコーンカーンコーン・・・・・・。

チャイムが鳴る。桜は泣いたまま、
保健室を出る事ができない。

大地はそのころ席について、窓側から空を見上げていた。

「起立!礼!」

大地は席を立ち、先生に向かって礼をする。
というか、先生に向かって睨む、という感じだ。

席につくと、大地は教科書をだそうと
引き出しを開ける。
すると、引き出しの中には手紙が入っていた。

「ん・・・?」

手紙を開け、内容を読む。


“大地へ”
今日の放課後
理科室にきてください。
お願いします。      
         ~より


「え?」
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