強制食料制度
冷や汗が背中に流れて行く。


包丁とカッターナイフでは差があり過ぎる。


もしあれを突き立てられたら……命はない。


「どうした? 顔が真っ青だぞ? ここで死ぬか? それとも、俺のオモチャになって生き延びるか?」


和文はそう言いながら高らかな笑い声を上げる。


クラス内では見たことのない、邪悪な笑顔だ。


あたしは自分の体の震えが強くなるのを感じながら、ジリジリと後退して行った。


玄関までは遠い。


和文に背中を見せて走ることには抵抗があった。
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