強制食料制度
屈しない
ショックだった。


桃菜が母親を食べていた事実。


そこまで困窮していた事実。


あたしは桃菜の家を出て、またフラフラと歩き出していた。


行くあてはない。


自分の家の前まできて、あたしはまた立ち止まっていた。


ここでグズグズしていたら、また近所の人に追いかけられるかもしれない。


そんな不安はあったけれど、両親の様子が気になっていた。


家の中からはゴトゴトと物音や足音が聞こえて来るから、きっと中にいるのだろう。


あたしは身を乗り出してリビングの窓を確認した。


薄いカーテンの向こうに両親の姿が見えて、つい涙腺が緩んでしまいそうになる。
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