強制食料制度
はじまり
今から1か月前のことだった。


「なにこのニュース」


夕飯を終えた頃、いつものようにテレビを見ていると臨時のニュース番組が挟まれた。


『昨今の日本は自然災害の影響もあり、作物の育成が極めて困難な状況となっています』


深刻な表情でそう語るのは今の首相だ。


『他国からの食品輸入も追いつかず、貧しい人々に食料が行き渡らなくなりつつある』


「そうなの?」


テレビから視線を離して、あたしは一緒にテレビを見ていた両親へそう聞いた。


度重なる自然災害があったことは知っていたし、それが原因で作物に影響が出ていることも知っていた。


けれど今のところあたしたちは毎日普通にご飯を食べることができている。
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