彼女のセカンドライフ
第五章 選択の余地

ある日、面接が終わった昼下がり、その帰り道こと、地面から暑さが湧き上がり、足の裏がとても痛かった。

道路の遠い向こうで、水たまりが見える。

「逃げ水だ」

武尊は独り言を言った。

立ち止まり、少しそれを眺めていると、強烈にお腹が痛くなり、その場にうずくまった。

痛みに堪えつつまた歩こうと、足を上げた瞬間、ふらりと体が揺れ、そのまま地面に倒れ込んでしまった。

しばらくして目が覚めると、病室のベッドに横たわっていた。

心配そうに、家族が顔を覗き込んでいた。

「あ、気が付いた?」

武尊の姉が、気が付いた武尊にそっと声を掛けた。

気を失うほどの痛みも消え、少し楽になった武尊は、か細い声で姉に聞く。

「姉ちゃん、ここは?」

「ん? 病院よ。運ばれた時のこと覚えてない?」

頷く武尊に、倒れてから今に至るまでの経緯を離した。

確か強烈な痛みに襲われ、そのままうずくまり、歩き出そうとした瞬間倒れたことを思い出した。

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