彼女のセカンドライフ
話を終え、家族みんな、武尊にどう話していいか悩み、母は、あまりにもむご過ぎて言えないと言うが、それでも姉兄が、武尊に全てを話すべきだと揃って声にした。
父は黙ったままそれを聞いていた。
病室に戻って来た家族を見て、
「僕、もしかしてがんか何か?」
ベッドに横たわる武尊が先に切り出した。
冷静を装い、姉が言う。
「うん。そんな兆候あったりした?」
「やっぱり……」
「分かってた?」
「うん。昨日目が覚めてから、夜ネットで思い当たる節を検索したら、当てはまる項目の病名に辿り着いたから」
二人の会話を聞いていた兄が、
「そうか。今後の治療のこともあるからしっかり話し合っておきたい」
いつになく、真顔で言った。
家族が今まで見せたことのない深刻な顔に、自分の病状がただならぬ状態であることを、改めて思い知らされる武尊だった。
即入院だったが、やっておきたいことがあるといい、入院は次の日からと、武尊が懇願するから、それを家族は尊重した。
このタイミングで、B.A.Bから内定の通知が届く。
十月が終わろうとしていた。