彼女のセカンドライフ
第四章 幸せの裏側に出来た歪(ひずみ)

武尊の心は踊った。

うだるような暑さも吹っ飛んでしまいそうなほど、見上げた空は清々しく思えた。

空を見上げながら、自分の名前を呼ぶ、凪美子の声に浸っていると、凪美子は武尊を引き寄せ、武尊の頬を両手で優しく包み、軽く唇を重ねた。
 
何て衝撃的!

武尊は息をするのも忘れるほど、身動きすらできず固まった。

「運命の話は、私と武尊君だけに通じる話。周囲は、私達を親子だと思う。恋人同士なんて言ったら笑われる。笑われる方がマシかもしれない。きっと冷ややかな目で私達を見る。世間にしたら、運命なんて話は、戯言だから」

二人の関係は、周りに迷惑がかからないように、冷静で慎重に行動し、出来るなら気付かれないように行動しようと、凪美子は言った。

< 70 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop