ラヴ・ミー・テンダー
私たちは立ち止まると、
「じゃあ、また」

そうあいさつをして、その場から立ち去ろうとした。

「あの…」

武智さんが引き止めたので、私は振り返った。

「何ですか?」

首を傾げた私に、
「また、一緒に飲みましょう」

武智さんが言った。

「はい、また」

また武智さんに会えるんだと思ったら嬉しくなった。

武智さんは私に向かって手を振ると、その場から立ち去った。

私も彼に向って手を振り返しながら歩いた。

胸の中が温かい、心がウキウキしていて歌いたい気分だ。

こんな気持ちになったのはいつ以来だろうか?

「一緒に飲みましょう、か…」

フフッと、私は笑った。

近いうちにもう1度、あの飲み屋に行こうかな。

そしたら、武智さんに会えるかも知れない。

そんなことを思いながら、私は家路へと急いだ。
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