先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

下を向き短い沈黙の後、意を決したように顔を上げた。

「あのっ私、山片さんのこと好きになっちゃったみたいです!」

赤い顔をしながらもにっこり笑う姿に、昔の記憶が一気に蘇る。

(私、先生のこと好きになっちゃったみたい!)
(航ってこうって読めるよね!こうくんって呼んでもいい?)
(本気でこうくんのことが好き!このままさよならはヤダ!付き合ってください!)

初めて会ったのは花笑が中3のころ。無邪気に俺に告白する姿が鮮明に思い出される…。

「あの…このままお別れしたくないです。お付き合いしてもらえませんか?」

「ふっ…」

セリフまで似ているから思わず笑ってしまった。

「原田さんは俺の彼女によく似ている…」

「彼女さん、いたんですか…」

しゅんとした原田さんに、思わず花笑にしてるように頭をポンポンと撫でていた。

「ああ、大事な彼女がいてね。悪いが答えることはできない。すまないな」

彼女の雰囲気からして周りの男たちから人気があるだろう、社長の姪だから手をこまねいてるかも知れないが。
どう取り繕っても期待に応えることができないから余計なことは言わないでおく。

丁寧に別れを告げ、近々うちの会社で行われる創立記念パーティーで再開することを約束し社長たちと別れた。
原田さんは少し沈んでるようだったが、最後には笑って「またお会いしましょう」と言ってくれた。

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