先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「航兄さん、久しぶり。…昨日帰ってきてたんだってね。日野のおじさんに聞いた。」

「ああ。結婚するんで挨拶にな。花笑だ。花笑、こいつが雅美。」

「はじめまして、松崎花笑と申します」

少々乱暴な紹介にちょっとドキドキしながらも会釈する

「伊藤、雅美です」

雅美さんは海斗さんと同い年で、目が大きくてポニーテールが良く似合う可愛らしい人だった。保育園の先生をしているという。今日は日曜保育で公園まで遊びに来てたそうだ。

「結婚、するんだね…」

そう言って私の左手に目線を落とす雅美さんに思わずゆっくりと手を後ろにやった。

「ああ、俺もいい年だからな。最愛の人に出会えた」

そう言って繋いだ手に力を籠め私を見つめる航さんは、雅美さんに見せつけてるようにも思えた。

「わぁ!オジサンおっきい!」
「雅美先生のお友達ー?」
「あそぼー」

無邪気な子供たちが雅美さんと話してる私たちを取り囲む。
物おじしない子が航さんの手を引っ張って遊びに誘ってる。

「おーなんだ、ちょっとだけだぞー」

引っ張られるまま航さんは行ってしまって腕に子供をぶら下げたりして遊んであげてる。意外と子供好きらしい。キャッキャと喜ぶ子供達に笑う航さんが微笑ましかった。

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