先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

それを知ってか知らずか西川さんは、既に来ていて取引先の男性たちに取り囲まれていた。
フリルのついたオフショルダーにタイトなロングスカートのワンピース。深くスリットが入っていて、妖艶な西川さんにとっても似合ってるんだけど、大胆な姿になんだか冷や冷やする。

「ねえねえ、西川さん嬉しそうな顔してるね・・・」

「うん、男性をはべらして、似合ってるのがなんか悔しいけど・・・」

「う、うらやましい・・・」

「えっ!」

里佳子と紗希の会話にびっくりした。
まだ彼氏のいない二人は招待客の中からいい人はいないか探すのが楽しみだったらしい・・・。

「あ、ははははは~」

3人顔を合わせてなんとなく乾いた笑いが出た。
私はというと、意中の人はまだ現れず・・・。

日野さんまだかな…。

未だ飲み友達のまま。
でもそれが居心地良くて先に踏み込めないでいた。
告白なんて到底できない。

考え事をしていたら、入り口が少し騒がしくなってきた。
人も増えてきた所に、人だかりから一つ頭が出ている人物が現れてそれが誰だかすぐにわかった。

「あ、山片課長が来たよ!」

紗希の声にみんなでそちらに注目する。
課長が来たということは、その隣には…。

「わあっ!花笑さん!?」

「あ、知佳ちゃん!」

山片課長にエスコートされ人垣から現れた花笑さん。
いつもと違う姿に感激して走り寄った。

「わ~わ~!花笑さん大人っぽい!素敵っ!」

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