先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

「夏野、相変わらず豪快に飲んでるな?」

「どうせ女の子らしくないとか言いたいんんでしょ」

置田くんがいつの間にか隣にいて話しかけるからつい言い返した。

「なんだよ、そんなこと言ってないだろ?楽しんでるみたいで良かったって言ってるんだ」

どこを見て楽しそうなんて思えるんだ~?と言いたかったけど言ってもしょうがないかと、話題を変えた。

「置田くんは?お姉さん達と挨拶回り終わったの?」

「ああ、ただの姉貴のお付きだよ。やっと解放された。」

げんなりした顔でそう言って、ボーイから受け取ったビールをイッキ飲みしてる。
私ももう一杯シャンパンを受け取って飲み、置田くんと他愛ない話しをしていた。
そうそう、さっきの橋本さんと山片課長の握手。
やっぱりかなり力が入ってたみたいで、聞いてみたら、山片課長とお姉さんの事は橋本さんは知らないみたいだけど、少しでもお姉さんと関わりのある男の人がいたらああやってけん制してるそう。
かなり嫉妬深い・・・・。
いや、愛されてるようでお姉さんはあれで幸せなんだそうだ。
顔色も変えず応戦していた山片課長も凄いと思う…。

「何楽しそうに話してんだ?」

「日野さん!」

今日2度目の後ろからの声掛けに驚いて振り向いたら、日野さんは顔は笑ってるけど何か張り積めてる感じで雰囲気がいつもと違った。

「別にたいした話はしてませんよ」

置田くんがヘラっと返事をする。
楽しそうにしてたのは日野さんの方だと思うけど…。

「あ、私ちょっとお手洗いに…」

さっきの光景を思い出し日野さんの隣にいたくなくてその場から逃げ、会場を出てトイレに駆け込んだ。
楽しいはずのパーティーなのに、何やってんだろ私…。
鏡の前で項垂れた。

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