先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~
自分が今どんな顔してるのか検討もつかない。
マジマジと航さんの顔を見上げるとニッと不敵に笑う航さんにドキドキしてきた。
「俺だけ知ってればいいんだよ」
そう言って私の左手を救い上げ指輪にキスをした。
ドキドキして言葉も発せず航さんを見つめる。
どんなに横暴なことを言われてもきっと私はいうことを聞いてしまうのだろう。
それくらい私は航さんに溺れている。他の人なんか目に入らない。
見つめ合っていると、ポーンと音がなりエレベーターが開いて私達は乗り込む。
「婚約だけじゃ安心できないな。早く結婚しよう…。それでも安心できないか……」
扉が閉まり、航さんが一人で小声でぶつぶつ言ってる。
「そ、そういえばさっき、航さん私のこと、妻って言った?」
「あ?ああ、俺のもんだって言いたかったからな…」
「航さん…」
視線を逸らし恥ずかしそうにこめかみを掻いてる。
やっぱりさっきの聞き間違いじゃなかった。妻って良い響き!
嬉しくってにっこり笑って航さんに抱きついた。
「帰ったらお仕置きだな、覚えとけよ」
「えっ‥」
見上げた瞬間にキスが降ってくる。
唇を離し、間近で見る航さんの目尻が下り細める目。
この目は他の誰にも見せない私だけのもの。
ああ、私もこんな顔してるのかな…?。
そう思いながら目を閉じた。