先輩の恋人 ~花曇りのち晴れ渡る花笑み~

それからというもの部長の部屋に集まった、部長、日野さん、小山さん、他の営業部の清水さん、浅野さん、花笑さん、私、総勢7人で片っ端から電話して、1967年のワインの在庫を探しまくった。

やはり50年も前のワインはあまりなくって、みんな焦って来ていた頃に課長から連絡が来て、ホテルに無事着いたこと、ホテル側と話してこの際銘柄種類は問わないから国内の酒造にも当たってくれという事で手分けして電話した。

100本必要だったワインは、日本酒、ウイスキー、ブランデーに至るまで同じ年代をかき集め、特急で送ってくれることになり、有山ホテルの近くにある卸業者や酒造は課長やホテルの方達が取りに行ったそうで、なんとか明日の午前中には揃う事になったそうだ。
目処がついてみんな安堵したのは夜の9時過ぎだった。

「もう宴会終わってるな」

「あー腹へった」

「もー安心したら眠い」

「何いってんだ夜はこれからだぞー」

みんなそれぞれ言って、宴会に出られなかったからご飯も食べられなくて、
ホテル内にあるラーメン屋さんで部長が奢ってくれるということでご馳走になった。
その後、男性陣はバーへ繰り出して行き、私達はせっかく温泉に来てるのだからと温泉に入ってやっと部屋に戻ってきたのは11時過ぎ。

「はぁーやっと落ち着けましたね」

「ほんとね。でも、なんとかなりそうで良かった……」

心底ホッとしたようで気の抜けた感じの花笑さん。

「そういえば課長達いつ帰って来るんでしょうね」

「明日、荷物が届いたのを見届けてから帰って来るそうよ」

「そうなんですね、いつの間にそんな連絡来てたんですか?」

ずっと一緒に居たのにそんな話は聞いてなかったから不思議に思って聞いてみただけなんだけど、

「あ、うん…メールでさっきね」

とちょっと挙動不審な花笑さん。

あーなるほど、
やっぱり私の勘は当たってるかも。
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